アマミノクロウサギを見に行こう〜奄美大島の大自然1〜

どうぶつと、人間
「生き物の語り部」です。今回から、奄美大島の大自然について3回にわたって特集します。1回目は、特別天然記念物に指定されているアマミノクロウサギの野生の姿を、一緒に探しにいきましょう。

奄美大島の大自然に魅せられて

奄美大島は、まるで絵画のような美しい自然が広がる南国の楽園です。エメラルドグリーンの海と豊かな緑に囲まれたこの島では、心身ともにリフレッシュすることができます。この島の魅力の1つが、奄美大島のみ、あるいは沖縄から奄美にかけてのみを生息地としている固有種の動物たちです。

たとえば、下の3枚は、「生き物の語り部」が実際に奄美大島で撮影した画像です。スマホのカメラで撮影したので画質が悪いですが、お許しください(-_-;) 

映っているのは、左から(人によっては上からかもしれません)イシカワガエル、リュウキュウコノハズク、アマミトゲネズミという固有種たちです。

こうした素晴らしい生き物たちの中でも、特に注目すべきは、やはりアマミノクロウサギです。クロウサギは、奄美大島固有のウサギで、その愛らしい姿で多くの観光客を魅了しています。しかし、かつてのクロウサギは絶滅寸前の危機に追い込まれていました。それはなぜでしょうか?どのように復活したのでしょうか?

奄美大島を訪れるなら、ぜひこの自然の宝庫に触れてみてください。アマミノクロウサギとの出会いは、あなたにとって一生の思い出になること間違いありません。奄美大島で自然の息吹を感じ、心豊かな時間を過ごしましょう!

野生のアマミノクロウサギを探して

野生のアマミノクロウサギは、奄美大島の森林部分に幅広く分布しています。

クロウサギは、ハブにかまれる心配のない山道沿いにエサを食べに来ることが多く、よくクロウサギが出没する山道に入って野生のクロウサギを観察する観光ツアーが開催されています。「生き物の語り部」は今回、実際にツアーに参加してクロウサギを観察してきました。訪れた山道は予約制で、事前に登録した車でなければ侵入することができません。厳重な管理のもと、クロウサギの棲む森は守られているのです。

ジープに乗りこみ、いざツアーが始まります。

「クロウサギに1頭くらい会えればラッキーだな」と思っていたのですが、なんと入山直後にクロウサギが歩いているのを発見!

ガイドさんに聞くと、近年は保護活動が成功していて、クロウサギはもともと生息していなかったエリアにさえも生息域を拡大しているとのこと。このあとツアーに参加する中で、合計20頭以上のクロウサギに出会うことができました。ツアーに参加してしまえばほぼ確実に出会うことができますので、ぜひ奄美大島に行って本物のクロウサギを観察してみてはいかがでしょうか?

今回のツアー参加による取材で分かったのは、オスも子育てに参加する場合があるということです。これまでもオスが子育てに参加している様子が確認されていましたが、その度合いは父親の個体差があるようです。実際に、ツアーで会った子連れのクロウサギ家族は、大人と子ども1頭ずつの場合もあれば、大人2頭(恐らく両親)と子ども1頭の場合もありました。

野生の姿を観察して現地のガイドさんの話を聞くと、知らなかった情報をたくさん知ることができるので、この記事を読んだ皆さんは奄美大島に限らず、全国の自然に飛び込んでいってほしいと思います!

クロウサギの保護と保全

冒頭で述べたように、クロウサギは絶滅危惧種であり、1963年には日本で初めて特別天然記念物に指定された動物として知られています。

こちらは、動物を捉えるためのワナです。これは何を捕まえるためのワナだか分かりますか?

ここで「マングース」だと思った方は、とても惜しいです!奄美大島のマングースについては、この「奄美大島の大自然」シリーズの第で、細かく解説をするので、そちらをご覧ください!

話を元に戻すと、実はこの写真のワナ、ノネコ(ペットの猫が逃げたり投棄されたりして増えている)を捕まえるために設置されています。ノネコは現在の奄美大島において、クロウサギや他の希少な生き物にとっての最大の外来の天敵です。そこでネコを捕まえて、去勢・避妊・ワクチン接種などをした上で、里子として一般家庭に引き渡されるのです。

天敵のマングースやノネコを捕まえたり、クロウサギの生息環境を守ったりすることによって、クロウサギの生息数は増加しています。2021年度に実施された環境省の調査では、20,000匹以上のクロウサギが生息していると推定されており、21世紀初頭の10倍近くの頭数が生息していると考えられています。

こうして生息数が増えてきたことにより、いくつかの問題も発生しています。

まずは交通事故の問題。年間で100頭以上のクロウサギが車にはねられて死んでしまっています。それもあってか、多くの島民は非常に安全運転で、空いている道でもゆっくり安全運転している車が多かった印象です。

またクロウサギが「害獣」扱い始めているという問題もあります。具体的には、「タンカン」の畑で新芽を食べてしまう食害が相次いでいるのです。もちろん特別天然記念物であるクロウサギを捕獲して殺処分することはできませんので、農家の方は畑をネットで囲んでクロウサギが入り込まないようにして対策をしています。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は、奄美大島の特別天然記念物「アマミノクロウサギ」について特集をしてきました。クロウサギが大切に守られてきて着実に生息数を増やしている一方、それゆえの問題も発生していることが分かってきましたね!

次回の「奄美大島の大自然」もお楽しみに!

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